コロナに負けるな! 観光やスポーツで新たな一歩を踏み出している国々をご紹介!

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はじめに

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症によって東京オリンピックの延期が決まった3月、日本を訪れた外国人旅行者数は、2019年3月と比べて93%も減少しました。COVID-19の蔓延による観光業への影響は計り知れず、旅館から神社仏閣まで、多くの場所で自粛を余儀なくされており、経済的にも大きな打撃を受けています。
また、スポーツ業界では多くの試合が延期・中止となっています。Jリーグ・プロ野球ともに開幕が延期され、ラグビーの日本選手権や大相撲の夏場所は中止が発表されています。興行収入や契約更新が見込めない中で、中にはデリバリー配達のアルバイトを始めるメダリストも。競技によっては練習も難しく、依然苦しい状況が続いています。

 一方で、厚生労働省の発表では、国内の感染者数は4月ごろから徐々に減ってきています。一日ごとに見ていくと増減を繰り返している面もあり、決して油断はできません。しかし、パンデミックが沈静化するのには1年とも10年とも言われている現在、いつまでも先が見えないまま悶々と自粛し続けるよりは、多少無理やりにでも予測をつけた方が精神的にも安心するのではないでしょうか。

そこで、今回はこの状況下でコロナとうまく折り合いをつけ、徐々に観光業やスポーツ試合を再開させているアジア諸国や、再開のための準備を進めている国の実例をご紹介します。

中国――5月11日時点でおよそ70%の観光地が再開

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武漢での発生が世界的なパンデミックの発端ともいえる中国ですが、現在は「新型コロナウイルス感染拡大の勢いは基本的に抑え込んだ」としています。そのため、北京にある世界遺産・故宮では約3か月ぶりに観光客の受け入れを再開するなど、観光業でも光明が見え始めています。
もちろん、経済活動の制限が減ったからといって感染対策を怠っているわけではないようです。故宮や上海ディズニーランドでは入場を完全予約制としており、入場前の検温やマスクの着用を必須にするなど、感染予防に努めています。何もかも通常通りとはいきませんが、来場者は安心感を持って息抜きができているようです。

そんな中国各省で独自に行われているシステムが、「健康コード」です。当社でもおなじみのSNSサービス「WeChat」アプリやスマホ決済の「Alipay」アプリを通じて取得でき、個人情報の登録によって「赤」「黄」「緑」の三段階で「健康コード」が示されます。異常なしの「緑」であることを提示すれば、観光地や飲食店に問題なく入店できるという仕組みです。
わかりやすくスムーズに判断ができる一方で、その判定基準や照合方法は不透明なため、プライバシーに対する懸念も生まれています。それもあってか、利用率や利用場面は地域によって異なるようです。

さすがに健康コードは日本では導入できないと思いますが、完全予約制による入場制限やマスク・検温の徹底など、観光地での対策は参考になるのではないでしょうか。

アメリカ――全米旅行産業協会やホテル協会が独自に基準を作成、安全な営業へ

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失業率が世界恐慌以降最悪の数字となり、全世界の感染者数のうち国民が4分の1を占めているアメリカ。国内での複雑な格差やトランプ大統領によるWHOの批判など、様々な問題を抱えているのが現状です。そんな中、失業者が800万人を超えた旅行業界では、新たなガイダンスを設けることで再開に備えようとしています。

全米旅行産業協会は、5月4日付で旅行業界で働く従業員や顧客の安全を維持するためのガイダンス ”Travel in the New Normal(旅行における新常識)” を発表しました。これは、各州や地方自治体が規制緩和を行った際、旅行業を迅速かつ安全に再開するための基準として作成され、医療専門家の知見も踏まえています。
このガイダンスの狙いとしては、旅行業界で働く人々の安全性を確保するだけでなく、解禁後に二の足を踏む観光客に向けて「非常に高い基準を設けているため安全だ」ということを示すことも挙げられます。全米旅行産業協会CEOのロジャー・ダウ会長は、「今は旅行を勧めない」としながらも、「再開に備える準備期間として、包括的な対策を進めていく」と前向きな姿勢を示しています。

また、ヒルトンやハイアットなどの大手ホテルグループが所属するアメリカン・ホテル&ロッジング協会(AHLA)も、業界全体の安全な滞在を実現するための衛生安全基準ガイドライン “Safe Stay” を発表しています。
こちらもまた、公衆衛生の専門家や医療専門家らと協力のもと作成されており、各ホテルがガイドラインに沿ったプロセスを明確化・共有しています。AHLAは、このガイドラインにきちんと対応したホテルを発信していくことで、業界全体の安全基準の底上げや顧客の信頼獲得を目指しています。

世界的に見ても優秀な衛生管理を行っている、日本のホテルや旅館。ですが、今一度基準を見直したり、情報を公開したりすることで、再開後のスムーズな業績回復へと繋げられるのではないでしょうか。

台湾――プロ野球が5月8日から観客ありで試合開催

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最後にご紹介するのは、「コロナ対策の優等生」とも称される国・台湾。12月末から空港での検査を初め、徹底した水際対策や柔軟な政策によって、中国との地理的な近さがありながらコロナウイルスの封じ込めに成功しています。実際、新規感染者は12日付で5日連続0人を達成、帰国者や軍艦乗組員を除くと、国内感染例は30日連続で発生しておらず、迅速な対応が明らかな結果としてついてきている印象です。

そんな台湾の球場では、野球選手が久々に生の声援を受けながら試合に臨みました。今まで無観客で試合を行ってきた台湾プロ野球が、5月8日ついに観客ありの試合を解禁。チケットは何かあれば追跡できるように指定席制、また入場前には検温を行い、応援もマスク着用や席間隔を空けるなど、十分な対策が取られている中で、ファンたちは久々の野球観戦を思い切り楽しんだようです。
試合前には保健当局部長による挨拶があり、「対策を続けながら楽しく生活できるよう頑張ろう」という呼びかけも行われました。
このように、いつもとは異なる緊張感をはらみながらも、試合に興じる台湾の選手や観客の感想はやはり「嬉しい」に尽きており、日常を取り戻すことの重要性を感じさせます。

ですが、無観客試合には経済的なリスクが伴います。収益は通常の9割減になるとも言われており、チームの経営や選手の年俸にも大きく関わってくるため、無視はできません。日本でもプロ野球やJリーグが無観客試合の実施に向けて動いていますが、試合数や選手の感染予防など課題は尽きません。試合の配信やグッズの通販など、オンラインでの収益獲得を目指すのかも含め、今後の動向に注目です。

おわりに

日本国内では、緊急事態宣言が5月14日に39都道府県で一斉解除される見通しです。東京・大阪など一部の特定警戒都道府県は引き続き継続する予定ですが、韓国で外出自粛解除後に新たな集団感染が発症した例もあり、「ゆるみ」がもたらす感謝の急増が懸念されます。
楽しむ側は観光やスポーツを一日も早く楽しむために気を引き締めて行動し、各業界は安全基準を設けたり入場体制を整えたりするなどして、協力しながら日常の楽しみを取り戻していきたいですね。

資料一覧

全米旅行産業協会によるガイダンス“Travel in the New Normal”

アメリカン・ホテル&ロッジング協会(AHLA)によるガイドライン “Safe Stay”

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筆者プロフィール

teatime

広報担当 無糖ティータイム

入社2年目に突入。現在はコラム「UP College」を中心にWebサイトのライティング、オフラインでの配布物作成などを行っている。趣味は旅行で、アジア圏ではタイ・ベトナム・台湾を訪問済み。コロナが収束した暁には、キャラバン隊へ参加してシルクロードを横断する予定。

最近の出来事:先日、初めてフィッシング詐欺なるものに遭遇しました。初めてのことだったので個人的には恐怖より好奇心の方が勝ってしまいましたが、このような状況なので新手の詐欺も増えているようです。少しでも怪しいと思ったら、入念に確認していきたいですね。