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決済トレンド

スマホ決済の「オフライン」を再定義する。通信不要機能が標準化する意味とは

2025年12月1日、国内主要コード決済の一つがついに「オフラインコード支払い」機能をスタートさせました。これにより、通信障害時や地下、大規模イベントでの混雑など、スマートフォンの電波がつながらない状況下でも、アプリに決済コードを表示して支払うことが可能になります。

本コラムでは、「圏外」を克服するキャッシュレス。決済インフラが迎えた新たなフェーズおいてつながらない時こそ真価が問われることについて解説します。


キャリア系決済の参入で「標準装備」へ

一見すると機能的なアップデートに見えますが、大手キャリア系サービスがここに踏み込んだことは、日本のキャッシュレス決済が「ポイント還元の競争」から「インフラとしての強靭性(レジリエンス)」へと競争軸を移したことを象徴する出来事と言えます。

「オフライン決済」の定義が変わった

決済業界において、かつて「オフライン」という言葉は、クレジットカード決済端末(CAT端末)が通信を行わずに一時的にデータを蓄積する処理(オーソリゼーションを行わない処理)を指すことが一般的でした。これは主に「加盟店側の通信環境」に依存する話でした。

しかし、現在のQR・バーコード決済における「オフライン」は、「ユーザー(消費者)のスマホが圏外であること」を指すよう定義が変化しています。 先行するPayPayやd払いに続き、今回のau PAYが導入したこの仕組みは、一般的に「CPM(Consumer Presented Mode)」と呼ばれる、ユーザーがコードを提示し、店側が読み取る方式でのみ機能します。アプリ内で生成されるワンタイムコードに特殊なトークン技術を用いることで、通信なしでも真正性を担保する仕組みです。

かつての「店側の都合(回線)」から、「ユーザーの安心(どんな時でも払える)」へと、オフラインの主語が完全に変わったのかもしれません。


世界と日本の現在地

世界に目を向けると、モバイル決済先進国の中国では、AlipayやWeChat Payが以前からオフライン機能を提供しており、通信インフラが不安定な地域でも普及する原動力となりました。さらに、現在進行中のデジタル人民元(CBDC)の実証実験では、スマホ同士をタッチして、「支払う側も受け取る側もオフライン(デュアルオフライン)」で決済が完了する技術まで進んでいます。

日本においては、PayPayが2023年に特許技術を用いたオフライン機能をいち早く実装し、能登半島地震などの災害時にもその有用性が注目されました。今回、au PAYという大手がこれに続いたことで、国内コード決済における「オフライン対応」は、差別化のためのオプション機能ではなく、あって当たり前の「標準装備(スタンダード)」になりつつあります。

今後の展開予測とまとめ

災害への「備え」として 自然災害のリスクと隣り合わせにある日本において、「現金を持たない」ライフスタイルが広がる中、通信障害や緊急時に「お金が使えない」リスクは生活に直結する課題です。今後は以下の2点が焦点となるでしょう。

  1. 「デュアルオフライン」への技術挑戦
    現在は「店側はオンライン(通信可能)」である必要がありますが、停電などで店側も通信できない場合の解決策として、NFCタグやBluetooth等を活用した完全オフライン決済への技術模索が進むと考えられます。
  2. BCP(事業継続計画)としての導入選定
    企業や店舗にとっても、どの決済手段を導入するか選定する際、「還元率」だけでなく「緊急時に止まらないこと」が重要な選定基準になっていきます。

「いつでも、どこでもつながる」ことが前提だったインターネット社会。しかし今回の市場の動きは、「つながらない時こそ、日常を止めない」という、決済インフラとしての覚悟を示しているのではないでしょうか。

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