スーパーアプリとは何か?
スーパーアプリとは国民の大多数が使用していて、各種サービスやインフラに接続され、生活に必要なほぼすべてを網羅している多機能アプリで、特徴としては各種業者がミニアプリ(スーパーアプリ内の1つの機能として加わるアプリ)などによってスーパーアプリ内で多種多様なサービスを展開しているというものがあります。
では世の中には、どのようなスーパーアプリがあるのでしょうか。
中国
WeChat(テンセント)
微信(WeChat)はミニアプリ(ミニプログラム)を中国で最も早い段階で普及させたパイオニアです。現在、ミニプログラムの数は700万個を超え、実働ユーザー数が数億人と中国で最大のSNSチャットアプリです。
日本ではLINEに該当しますが、LINEよりもユーザー数や規模は何段階も上です。世界展開しており日本でも使用できますが、中国本土以外だと機能制限があるため、決済部分を中心に中国専用機能が存在します。利用者のほとんどは中国人です。
中国ではこれを利用せずに生活することは不可能とまで言われているほどで、老若男女問わず利用しています。日本でもLINEで行政がサービス展開する例がありますが、中国でもWeChatで手続きができたり、生活に直結するサービスを利用できます。WeChatは利用者数最大のSNSである特徴を活かしWeChatPayという決済システムを持ち、最近では日本でも使用できるようになってきています。
こちらの決済サービスも完全に利用するなら中国本土の銀行口座が必要で、口座は外国人で持つことは至難なため、実質的に利用できるのは中国人のみです。
アリペイ(アリババ)
中国ECモール最大手にして巨大な物流網を持つ「中国のAmazon」と言われているプラットフォーマーです。アリペイはそんなアリババが展開する世界最大級の決済システムです。アリババは倉庫や店舗なども保有しており、リアルへの展開も大きく、Amazonとイオンを混ぜたような存在になっています。
アリペイもミニアプリを展開しており、WeChatの後追いながら利用者数が多く、購入や販売の面では一日の長があります。アリババも中国で生活する上で欠かせない存在で、日常に深く根付いています。こちらもテンセントと同じくサービスが基本的に中国大陸の中国人向けであり、世界展開できているかというと、そこまでではありません。
しかしユーザー数はアリペイだけで見ても、日本のどのアプリよりも多い巨大なアプリです。
Tiktok(バイトダンス)
中国アプリとしては珍しく日本でも利用ができ、かつ一般的に広まっているアプリです。日本では短時間動画配信サービスとしてしか有名ではありませんが、本土では抖音(ドウイン)と言われ独自の決済システムを持ち、集客に特化したSNSとなっていてモノの販売やライブコマースも可能です。
やはりすべての機能を利用するには中国本土で居住するしかなく、他のアプリと同じく日本では限定的な利用しかできません。利用者数は最近10億人を突破したばかりで、日本のどのアプリよりも利用者数が多いです。スーパーアプリとしては後発かつ規模が小さめですが、小さいといっても世界的に見れば巨大なアプリです。
チャットサービスと違いコミュニティなどは重視されておらず、ファン登録もバズりのほうが優先されてリピーターや囲い込みの効果が薄い反面、ファン数が少なくてもバズりさえすれば大きな宣伝効果が望めます。
北米
中国を初めとしたアジアではミニプログラムを連ねたスーパーアプリが次々成立していますが、他の地域はどうでしょうか。スーパーアプリとは見なされなくても、勢力が大きく国民の多くが日常的に利用するアプリを紹介します。
Messenger(フェイスブック)
フェイスブックメッセンジャーはフェイスブックのメッセージ機能と連動しているメッセージアプリで、2011年に本格的にスタートしました。もともとはフェイスブックのメッセージ機能でしたが、現在はスタンドアロンアプリとして単独でも使用可能です。利用数は月10億人と言われており、中国系のアプリと違い全世界で利用されている世界的アプリです。
フェイスブックメッセンジャーはフェイスブックのメッセージ機能と連動しているメッセージアプリで、2011年に本格的にスタートしました。もともとはフェイスブックのメッセージ機能でしたが、現在はスタンドアロンアプリとして単独でも使用可能です。利用数は月10億人と言われており、中国系のアプリと違い全世界で利用されている世界的アプリです。
ミニアプリ文化の強い中国系アプリと異なり、メッセージング機能に特化されています。外部のAPPやBOTを使用することもでき、多少知識があれば他の機能を連動することはできます。利用者が世界最大級で利用国数では世界最大という強みがあります。
フェイスブックは中国以外のほぼすべての地域で一般的に利用されています。日本ではフェイスブックユーザーが少ない傾向がありますが、欧米ではほぼ全員が利用していると言っても過言ではないほどです。アプリよりもPC上のSNSとして発展してきたこともあり、PC関連の機能も充実しています。
フェイスブックは個人ページ以外にフェイスブックページというページ(Youtubeでいうチャンネルのようなもの)を運営でき、こちらは日本でも法人利用されていたり、商活動に広く利用されています。
Amazon(アマゾン)
Amazonは世界最大のECモールで、全世界で利用可能です。中国系ECモールが中国人専用と化しているため、日本ではAmazonが一般的に利用されています。実店舗は限定的に展開しているに過ぎませんが独自の物流網をもっています。
またサーバー事業が強力で日本政府も利用しています。そのため中国で例えるとアリババとファーウェイを合わせたようなサービスとなっています。
アマゾンはAmazon appstoreというサービスを展開していて、ミニアプリではありませんが、他のアプリへの接続の窓口となっています。Appstoreは欧米中心にサービスを展開しています。
法人であれば日本でもAmazonに出店が可能です。
App Store(アップル)
AppStore(アップストア)はアップル製品を統合するサービスサイトで、アプリケーションのダウンロードサービスを行うアプリおよびサイトです。
アップル製品のみが使用できるにすぎませんが、アップル製品はPadやPC、スマートフォンなど世界的に展開されているため、利用者数は自ずと高くなっていて、現在ではスマートフォン向けアプリストアとしてはGooglePlayと共に世界を分けるサービスです。中国系アプリが中国大陸以外で使用できないこと、日本ではアップル製品のシェアが高いことで、特に日本では身近で、通常のアプリをリリースする際にはAppstoreに絶対展開しないとならないというくらいには重要な立場です。
アップルは他にもiCloud(ストレージサービス)やiTunes(音楽配信サービス)などを展開していて、日本でも馴染み深いです。もちろん日本でもiCloudに申請し、アプリを配信することができます。
GooglePlay(グーグル)
GooglePlay自体はAndroidOSの端末が利用できるアプリ配信サービスですが、配信元のGoogleが巨大で、これを利用しないで生活することはほぼ不可能と言われるほどです。
アップルと違い、自社製品を使用していなくともGoogleの何らかのサービスを利用しているということはよくあり、日本ではネットを切断して生活しない限り1度は利用することになりそうです。
検索エンジンの提供のほか、クラウドシステム、Youtube(動画配信プラットフォーム)などがあり、それぞれ説明するまでもないというほど知られています。
日本
LINE(ライン)
もともとは韓国のメッセージングアプリでしたが、日本で根付いて現在は日本のほうがユーザー数が多く、かつ本拠地を日本に移しました。利用者数は9000万人と言われていますが、中国アプリと比べるとユーザー数が少なめです。スーパーアプリと言われるにはまだ道のりがあります。
最近ミニアプリのサービスを強化し、まだユーザー数などの面で中国アプリと比べると脆弱ですが、日本で最大のSNSという盤石の立場を生かして着実に成長しています。利用者はほとんど日本人に限られているガラパゴスアプリではありますが、一応世界展開しています。
中国系SNSアプリの足跡を辿った成長ですが、中国系SNSは中国本土以外では使用に難があり、かつ北米のメッセージングアプリがいずれもメッセージングのみに特化していることから、一部の国ではセカンドメッセージングアプリとして利用され、利用数や人気が高まっている事例もあります。
最後に
かつてはネイティブアプリを作れば利用者増が見込める、という時代でしたが、今はネイティブアプリが膨大にありただ作るだけでは利用者が現れない時代です。一方で国民の過半数が利用していたり、数億人が利用する巨大なアプリが成立している時代でもあります。
新規にアプリで事業を行う人は「独自にアプリを作る」ほかに「スーパーアプリの中に作る」という選択肢2つの選択肢があります。どちらが適しているか、もしスーパーアプリを選ぶならどこがいいか、どういうものがあるか、参考にしてみましょう。