観光業界はこれからどうなるか -UPRISE TALK Vol.4-
コロナ禍が終わる前に、対策を立て、その根を張った企業だけが、次の時代で生き残る。
とはいえ、何をするべきか、業界では今どういう動きがあるのか、知らねば有効な対策は立てられない。弊社では今のうちから行っておく観光業界でのマーケティング施策とはどのようなものか、業界の最先端をいく企業や、実際に対策を立て始めている企業を招き、アップライズトーク(セミナー・座談会)を開催した。
登壇者のご紹介
- 株式会社ナイトレイ データコンサルティング部のインバウンド実務主任者 松田一朗氏
- 株式会社ACD WeSeach事業部のリーダー 守本浩太氏
- 一般社団法人沖縄イーコマース協議会の代表理事 銘苅誠也氏
また、弊社代表を務める中尾周平は第三部で銘苅氏と対談した。
マーケティング・インバウンドの実務者やアプリ開発企業、沖縄の観光業界のリーダーなど、それぞれ業界の最先端を走る方々が勢ぞろいした。
コロナ禍の今だからこそ、今のうちだからこそ考えておきたい観光業界のこれからのマーケティングを、彼らはどう考えているのか。
第1部 株式会社ナイトレイ松田一朗氏「インバウンドデータ調査とは」
第一部では、松田氏がこれからのマーケティングについて講演した。
ナイトレイはパートナー企業や外部などからデータを収集し、有効なデータにしたうえでプロダクト化し、顧客に提供している会社。ただデータの羅列を渡すだけでなく、データを元に地図やカオスマップ等の形に可視化し、顧客が必要で見やすい状態にして提供する。情報収集元も多様で、SNS、GPS、夜間の光のデータ、決済情報など多岐にわたっている。
インバウンド対策対策で大切な3つの視点
松田氏は、
- 最新ニーズ・現状把握(観光ビッグデータで最新ニーズの把握)
- 戦略検討・施策実行(ニーズに基づいた戦略の選定)
- 効果検証(施策の効果検証・PDCAサイクルの確立)
の3つが重要と説く。
PDCAサイクルを確立するためにはロケーションデータが必要となる。
ロケーションデータは旅ナカの把握に最適だからだ。
松田氏は旅ナカの情報では、周遊、滞在調査、消費調査、旅行行動調査などを把握する。
これらデータは現状調査や効果測定、ユーザーの興味や関心調査などに役立つし、役立てるべきだという。
ナイトレイでは旅ナカ情報を多様な情報源から収集し、そこから5W1Hを読み解いていく。
いつ、どこで、誰が、何を、どうして、どうやっての5W1Hだ。
例えば、どこから来た何歳の人が、どのような施設を訪れて、そこで何をしていたか。どうやって来たか、どうして来たかなど。
5W1Hを知ることができれば、人がどこに何を目的に来たか、あるいはいつどの層の人がどれくらいやってくるのか、などが分かるため、対策が確実かつ有効になる。
実際にナイトレイが提供しているデータの費用感は、
- 滞在データ40万円~
- 周遊データ20万円~
- 消費データ200万円~
- 消費データ10万円~
などとなっている。データがなければ闇雲になり対策が立てられないため、有効な対策を立てる場合には検討するのもよいかもしれない。
全国的にコロナでインバウンドの調査がカットされている事実がある。
では全く対策できないか?というと、松田氏によればそうでもないという。
松田氏は日本人を対象としたデータを活用することで、インバウンドを見据えた事業アクションへ落とし込みができるという。
外国人でも、日本人でも、旅のニーズの根本的な部分は変わらないからだ。
データを利用して、事前に有効な対策が立てることで、他より有利に動けるはずだ。
第2部 ミニアプリ定額サービスの紹介
インバウンド需要の中でも、中国人の割合はとても高かった。中国人観光客をいかに集めて捌けるかはかなり重要な点だ。
中国ではアリババやテンセントが展開している生活を網羅するスーパーアプリが最も利用されている。これに連なっているのがミニアプリで、中国人観光客の流入を得るにはミニアプリを制作・利用しなければならないというほど。
ACDはその中国のスーパーアプリに加われるミニアプリを開発しているほか、越境ECの道筋を作るサービスも行っている。
最近の中国の事情
国別の訪日外国人と訪日消費額を見ると、1位はダントツで中国。数にして959万人以上、消費額も17,704億円だ。消費額は全体の36.8%を占めている。
中国人の数は年々増えているが、その中でも、中国人の内容に変化が生じている点に注目するべきだとしている。
中国人観光客は年々、個人手配の旅行者が団体旅行者やパッケージ旅行などと比べて伸びていて、割合を増やしている。個人手配旅行(FIT)をする人は、主に富裕層や上位中間層。つまりお金がある層をターゲットにしていく必要があるというわけだ。
個人で自由に旅行計画を立てる以上、彼らは情報検索をする。その際に彼らは口コミを重視するという。しかし口コミを検索すると言っても、もちろん日本語や日本のサイトは利用しない。中国人らはWeChatなど中国で日用されているアプリを利用する。
特に、中国人へのアンケートでは、9割がコロナ禍後には日本に行きたいと答えている。日本はとても熱い市場だ。WeChatのミニアプリを制作し、活用することで中国人にダイレクトに見てもらえ、旅行先として選んでもらう道筋が立てられる。
WeSearchとは?
WeChatのミニプログラム(ミニアプリ)を簡単に構築することができるSaaS型プラットフォーム。
これを活用することで、驚くほど安く参入ができる。
むしろ普通のアプリ(ネイティブアプリ)を制作するコストや手間の何倍も安く楽で効果も高い。準備するものもサービス説明文と画像だけ。それでもって各企業ごとに専用の構築を行うため、効果も高い。
ACDが制作する場合、説明文等は日本語でも可だ。
テンプレートといっても自由度が低いわけでもない。対応するカテゴリーも商業施設などはもちろん、地方自治体、ホテル、ニュースメディアなど、多くを網羅している。
すでに日本でも複数の大手企業などが制作しているミニプログラム(ミニアプリ)。企業のみならず地方自治体でも導入が始まっている。
中国人への訴求をしたい場合、ミニアプリは必須と言えるだろう。