日本で中国SNSにLINEが倒される日は来る?

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LINEといえば日本では知らぬ者はいないというほどで、国民の過半数が何等かの形で使用していると言われていますね。
LINE全体のユーザー(アカウント)数は約9000万。日本で最も大きなSNSであり、最も「スーパーアプリ」に近いアプリです。

政府や公的機関でもLINEを使用しているなど、もはやLINE無しに日本は運営できないほどです。
LINEは元々韓国の開発したアプリが日本に進出したものでしたが、今となっては全世界のユーザーの過半数が日本人となっています。
また、LINE株式会社はことしに経営統合され、ソフトバンクグループ傘下のZホールディングスの完全子会社です。

最近になって正式に「LINEミニアプリ」のサービス展開を開始し、ギフトがアプリ内で購入と決済、手続きが完結できたり、各一般店舗やサービスもLINEに紐づくようになってきました。単なるSNSから、日本国内第一号のスーパーアプリの称号を手に入れる手前まで進化しています。


スーパーアプリやミニアプリというものがどんなものかの詳しい説明はコチラ: https://www.univapay.com/column/uprise3/ 

LINEが展開しているのは日本と韓国だけ?

LINEは元々韓国のアプリゆえに、韓国でもそれなりの勢力を持ってはいます。では日本と韓国以外で果たして使われているのか。結論から言うとほぼ日韓専用アプリとなっています。少なくともアメリカのGAFAのアプリのように、ワールドワイドに使用され、世界的に認知されていません。

一応、LINEはグローバル展開はしていて、例えばスペイン語圏ではメッセンジャー的な使われ方をしていて人気が高く、スペイン国内だけでダウンロード数が1000万を超え、いくつかの国では人気1位になることも。しかしEU地域全体でみると「WhatsApp(フェイスブック傘下)」が圧倒しているなど、やはりGAFA系列の支配が強固です。少なくとも多くの人がLINEのみを使用している日本と違い、あくまでWhatsAppのサブで使用されることが多いと見られています。

LINEがスーパーアプリとして特定の国の市場に君臨するとなれば、それは日本が最初であり、今のままだと最後になりそうです。

では中国のアプリはどうなのか

GAFA系列が圧倒的なのは言うまでもありません。この4社だけで世界のSNS市場のほとんどを支配し、すでにSNSの枠を飛び出し、物流から行政サービス、インフラなどが支配されていますね。

では中国のアプリは世界展開しているのかというと、GAFAほどではありません。中国のアプリはほとんど中国国内か、海外でも中国語圏でのみ使用されており、本当の意味でのグローバルブランドとは言い難いです。しかも強い国家統制がありそもそも中国本土以外で使用できないサービスやシステムがほとんど。WeChatでも海外の人が使用できるのはSNSの部分のみ。音楽配信や決済は事実上使用できない。そういう意味ではLINEにもチャンスが無いわけでなさそうです。

しかし中国のアプリにLINEが勝てない理由があります。それは中国人の数。地球人口の4人に1人が中国人というこの世で、中国語圏市場を支配するのは、世界の4分の1を支配するにも等しいです。

中国最大のSNSで、すでにスーパーアプリと自他共に認めるアプリが2つあります。アリババのAlipayとテンセントのWeChatです。特にSNSとして発展したWeChatは紐づいているミニアプリ(ミニプログラム)の数で700万個、ユーザーは月間アクティブユーザー9億以上、デイリーアクティブユーザーも4億1000万以上で、少なくともミニプログラムの規模で言うとGAFAの持つどのアプリよりも巨大です。

このように、中国は中国という市場単体で、市場規模だけで言えば世界と勝負できてしまう超巨大な内需があります。仮にLINEを日本国民全員が使用義務を負って使用したところで、WeChatの足元にも及ばないのです。

中国のアプリが日本に進出できるのか

LINEはほとんど専守防衛しかできません。SNSをはじめオンライン市場はアメリカのGAFAや、テンセント、アリババ等をはじめとする中国のBATHが席巻しているので、なかなか海外に打って出ることはできません。

しかし日本国内だけで見れば、その勢力は盤石と言えます。つまり日本単独の「ガラパゴスなアプリ」として存在する分には強力な存在であることは間違いないです。中国や世界で発展し巨大化するアプリといえど、日本に進出しLINEを駆逐できるかどうかは怪しいし、できたとしても近い未来には起きえないと思われます。

とはいえユーザー数が日本1国にほとんど限られ、数億人から数十億人が利用するアプリには資金力や開発力で追いつくこともできません。現にLINEのサービスは中国の後追いであり、真新しいものがありません。はっきり言えば、機能や内容だけで言えば別にLINEじゃなくてもいいし、何なら中国のアプリのほうがシステムが充実しています。

現状では中国のアプリは日本で使用できないし、アメリカのSNS群で日本で流行っているものに関しては、LINEと住み分けが一応できています。この危ういバランスの上に、LINEの国内覇権はあります。LINE独自に、世界に打って出られる真新しいシステムが生まれれば話は違ってきますが、現状でLINEがグローバルスタンダードになることはなさそうです。

中国のアプリが日本で覇権を取る日は来るのか

悲しくも日本はガラパゴスでもやっていける内需があります。1億3000万人しかいないとはいえ、購買力のある1億3000万人はひとつの市場としては巨大だし、特定の会社をそこそこの世界企業に押し上げるパワーもあります。人口が1000万人いない欧州の中小国家とは事情が違って、世界企業になるためには世界でいきなり戦わねばならないということはありません。

かと言ってユーザー数数億が当たり前になった現代で、日本1か国で世界に冠たる企業になることも無理です。世界のトップSNSと対等に戦うためには、複数の国だけでなく、複数の地域で第一位のアプリになる必要があります。それはなかなかすぐには難しい話になりそうですね。

日本の市場だけ守るのは、そこまで難しい話でもありません。SNSはユーザー数と浸透力が命です。最新鋭の機能を持つアプリよりも仮に機能が遅れていてもユーザー数が多いアプリのほうが優勢になるものです。日本に深く根付いて久しいLINEが、いくら機能が優れているからと言ってすぐに海外アプリに取って代わられることはありません。

ただし、それは永遠と続くわけでもありません。中国アプリが海外ユーザーも全面的に使用できるようになれば、時間さえかければLINEを駆逐する可能性もあります。GAFAはLINEと住み分けができているとはいいましたが、WeChatは完全にLINEと被る機能で、しかもLINEはミニアプリ等の面で事実上WeChatの後追いをしています。WeChatが本気で日本を取り込もうと動けば、LINEと言えど対抗は難しい時がくるかもしれません。

LINEが元々韓国からやってきた海外のアプリということや、中国のTiktokの進出を見れば、中国のアプリがLINEを駆逐して覇権アプリになることも、決しておかしいことではないはずです。LINEはまず、早急に日本の「スーパーアプリ」の座を取る必要があるでしょう。

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筆者プロフィール

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編集長 例のりす

決済を利用するすべての人へのメディア「UP College」の編集をしている人。なんでも興味を持ってしまい、広く浅くを通してしまって何かと手に負えなくなっている。

対象がインドア・アウトドア問わずなのでコロナ自粛生活だろうと解禁されようと相変わらず時間が足りていない。