テンセントの音楽サービス「KuGou酷狗」とは

KuGou

テンセントと言えば音楽配信サービスで独禁法を指摘されたことは日本でも大きなニュースになったので知っている人も多いかもしれない。ただ、テンセントの音楽配信サービスは一体どんなもので、どういうものか、気になる人も多いのではないだろう

テンセントの音楽配信サービスは4つ

先月24日、テンセントが保有する音楽配信権に関する契約を30日以内に解除するよう命じる行政処分が出た。
中国国内では、大手音楽配信サービスが合併を繰り返した結果、テンセントが自身の傘下にある音楽配信サービスの総計で国内8割のシェアを持つに至った。この支配力が独禁法の遠因になってしまったのは言うまでもない。

しかも残りの2割も中小企業ではなく、ほぼすべてがテンセントとは別の大企業の傘下となっている。

音楽配信サービスという「カネのなる木」のような市場では特に、新規参入者が生存できる余地はゼロである。

ではそのテンセントの音楽サービスとはいったいどんなものなのか。
テンセント・ミュージック・エンターテイメント・グループは主に4つの音楽配信サービスが存在する。

・QQ音楽(中国語: QQ音乐) – 音楽配信サービス
・KuGou(中国語: 酷狗音乐) – 音楽配信サービス
・Kuwo(中国語: 酷我音乐) – 音楽配信サービス
・WeSing(中国語: 全民K歌) – カラオケサービス

KuGou(クーガオ)

月間アクティブユーザー数は4億5000万人で中国最大のオンライン音楽サービスであり、このアプリだけで市場シェアは28%ある。

基本無料でアプリ内課金があり、著名歌手の歌など一部有料配信コンテンツも存在する。
他のテンセント音楽サービス同様に有料コンテンツは有料会員「VIP会員」になることで再生が可能になる。

中国本土のみのサービスで、中国本土以外では使用できない。
後述するが、テンセント系の音楽配信サービスは一部を除きサービス内容が似ており、かつ規約も同様である。
そのため4つのサービスすべてで、中国本土専用のサービスとなっており、日本国内では使用できない。

Kuwo(クウォ)

テンセントの買収統合によりクーガオと利用規約やサービス内容自体がほぼ同一と化してしまっている。

QQ音楽(キューキューおんがく)

2018年現在、推定で1億2000万人のユーザー数がある、中国のオンライン音楽市場で15%のシェアを占めていると予想されている。
テンセントが所有するメッセンジャーアプリであるQQと連動しているが、サービス内容はおおむね他のアプリと同様。

WeSing(ウィーシング)

テンセントが開発したオンラインカラオケサービスアプリ。
機能としては日本のカラオケのように採点機能やソーシャルでの共有機能などがある。

こちらは中国本土以外向けのアプリも存在しているが特定の国では使用不可能で、残念ながら日本も特定の国に含まれているため使用できない。

ではどんなアプリなのかクーガオを例に見てみよう

テンセント・ミュージック自体がテンセントとSpotifyの合弁会社であるため、世界の音楽が聴ける環境になっている。

Spotifyはスウェーデンに本社を置く企業で、世界最大の音楽配信プラットフォームでもある。2021年現在、Spotify本体のユーザー数は世界で3億5000万人を超えているが、合弁を組んでいるテンセント・ミュージック傘下のすべてのアプリを足すと、中国単一でそれに匹敵するユーザー数を誇ることになる。

Spotifyは日本でもサービスが展開されており、10~20代を中心に知名度が高く利用者も多い。

クーガオでは一般的な音楽配信サイトにある機能は大体揃っている。ただしPC版は一部機能が制限され視聴できないコンテンツがあるなど、アプリを前提とした作りとなっている。

ちなみに日本語や日本の歌も配信されている。

ただし前述の通り、日本国内からアクセスすると配信できない地域である旨の警告が出て再生ができない。

クーガオとクウォはどちらもアプリにアクセスするといきなり音楽が流れるなど導入演出からして似ている。
今回の独占禁止法の行方によって状況は変わるかもしれないが、別々に生まれた似たサービスが買収劇、統合劇の末に1つの会社の手中に収まってしまった。

テンセントは他にもSNS・メッセンジャーとしてほぼ同一の機能を持つQQとWechatという、やはり似たアプリを同時に運営していたりと、一見無駄、企業内でのカニバリズム(共食い)にも似た状況が生じている。

資金力がモノを言う熾烈な弱肉強食が繰り広げられる中国市場では、このようにひとつの巨大企業がすべてを統合する例が珍しくない。

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筆者プロフィール

teatime

編集長 例のりす

決済を利用するすべての人へのメディア「UP College」の編集をしている人。なんでも興味を持ってしまい、広く浅くを通してしまって何かと手に負えなくなっている。

対象がインドア・アウトドア問わずなのでコロナ自粛生活だろうと解禁されようと相変わらず時間が足りていない。