中国の動画サイト「bilibili」って? 生放送だけでなくゲーム・漫画にも展開する一大コンテンツ企業をご紹介!

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最近、中華料理がイケメンになって戦うゲーム「食物語」にハマっています。
北京ダックが凜とした少年皇帝に、炒飯が優しく中性的な美青年に、四川火鍋がパンダを連れた陽気な若者に……なんとも不思議な世界観ですが、聞いたこともないような中華料理の成り立ちを知ることができたり、(作れるかはさておき)レシピが確認できたり、今まで知らなかった中国文化を知るのに一役買っています。
筆者の最近の推しは「玉麟香腰(ぎょくりんこうよう)」。湖南省の伝統的な家庭料理ですが、例にもれず華々しい美形に変身しています。ビジュアルが気になる方はぜひ、調べてみてください。

さて、このゲームを運営している会社の名前は「bilibili(哔哩哔哩、以下bilibili)」。動画配信プラットフォームの運営を起点に、複数の事業展開を行っているエンターテインメント・コンテンツ企業です。
近年、スマホゲーム業界では荒野行動やアークナイツなど中国生まれのオリジナルゲームが成長著しいですが、これらはどちらもゲーム制作会社が開発・運営しています。対してbilibiliは、動画共有サイト「bilibili(社名と区別をつけるため、以下bilibili動画)」の運営を中心に、ネット生放送サービス・ゲーム配信・ブログ運営・漫画配信など、幅広い分野をカバー。立ち上げは2009年まで遡り、動画配信サイトはアレクサランキング(Alexa独自のWebアクセス数ランキング)では世界39位、中国16位と人気があります。
今回は、この「bilibili」という会社と、bilibili動画についてご紹介します!

1.特徴・客層

bilibili動画は、月間約2億人(2020年8月時点)のアクティブユーザーと、月間約180万人(2020年7月時点)の配信主を抱えています。時期的に、コロナ禍で動画視聴の需要が増えたというのもありますが、MAU(月間アクティブユーザー)は前年同期から70%増を記録しており、中国国内の動画配信業界内で地位を確立しています。
そんなbilibili動画の特徴は、視聴できる動画の内容がサブカルチャーに近く、また投稿の障壁が非常に低いことが挙げられます。同じ動画配信サービスを行っている「Tencent Video(qq.com)」や「iQiyi」と比較すると、一目瞭然です。

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ひとつめの画像がbilibili動画で、ふたつめの画像がTensent Videoです。サムネイルやレイアウトを見比べてみると、コンテンツ内容に違いがあるのが分かりますか?
「Tencent Video」や「iQiyi」がドラマや映画などを配信しているのに対し、bilibili動画はそれに限りません。プロのクリエイターや企業が予算をかけて作成した配信動画ではなく、一般ユーザーが投稿している動画がほとんどです。日本でいえば、前者2サービスが「Fulu」や「Netflix」にあたり、bilibil動画は「YouTube」や「ニコニコ動画」を足して2で割ったような動画サービスといえます。
というよりは、bilibili動画という場自体が、元々サブカルチャーに関連する動画、特にファンやアマチュアクリエイターが作成した動画を公開する場としてスタートしました。そのため、今でもMADムービー(既存の音楽・音声に合わせ、動画・画像やイラストを再構成した二次創作物)等のファンフィクションやゲーム配信など、有志によるクリエイティブ動画・編集動画が沢山アップロードされており、よりフリーダムで敷居の低い動画投稿サイトとなっています。

この特徴から、ユーザーの年齢層も若く、いわゆるZ世代(1990~2009年生まれ)がよく利用しています。およそ6割のユーザーが24歳以下であることから、若者向けコンテンツを発信する場としては、最適解のひとつです。

2.動画配信に留まらないサービス展開

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さて、敷居が低くバラエティに富んだ有志による動画が多くアップロードされているbilibili動画ですが、その分有料会員の割合が低い点は、他の動画配信サービスにアドバンテージを取られています。
「Tencent Video」「iQiyi」は、ユーザーの多くが有料会員。そのため、会員費からの収益が見込めます。対して、bilibili動画の月間平均有料ユーザー数は1,340万人。全ユーザーのうち、わずか8%程度です。こればかりは、プロが作成したオリジナルドラマと映画一般ユーザーが作成したコンテンツの埋めがたい差といえます。
しかし、逆に言えば「誰でも自由に動画を投稿できる」場でもあるため、動画コンテンツを投入するハードルが非常に低いのが、bilibili動画です。
そのため運営会社であるbilibiliは、動画サイトでの高い収益を見込むのが難しい分、幅広いエンターテインメント業界へ事業を拡大しています。中でも総売上高の約半分を占めているのが、モバイルゲーム事業の売上高です。

bilibiliでは現在「アズールレーン」「ファイナルギア -重装戦姫-」など、自社運営のオリジナルゲームを取り扱うほか、日本で作られた著名なモバイルゲームの独占著作権代理を担っています。また、「原神」や「Minecraft(中国版)」など国内外で人気のゲームが、bilibili動画内に公式チャンネルを持っており、宣伝や生放送などを行っています。
他にも、動画配信に伴う広告事業やEC事業、先に述べた通り漫画コンテンツの配信も取り扱っています。
「目に見えるコンテンツ」「大衆エンタメ」に対してのアピール力への強みを持っているのが、bilibiliという企業の特徴と言えるでしょう。

3.日本からも見れる?動画を配信できる?

bilibili動画へ日本からアクセスすることは可能なのでしょうか?
筆者が検証した範囲では、PC・スマホ共にブラウザからのアクセス・閲覧に支障はありませんでした。会員登録をすれば、動画に対するコメントを発信したり、お気に入りの動画をブックマークしたり、YouTubeやニコニコ動画と同じようなアクションを取ることができます。また、有料会員の登録をしなくても、動画投稿が可能です。チャンネル開設もできます。

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こちらは、筆者のbilibili管理画面です。

このbilibili動画、中国の若者へ向けてPRを行う場合のアピール先として、非常に期待ができるサービスなのではないでしょうか?「サブカルチャー」という言葉に引っ張られてしまいそうになるかもしれませんが、ライブ配信もアーカイブ配信も可能でユーザー数も多く、かつ誰でも投稿できるが故の自由さを活用することができれば、中国国内の若者へ効果的なアピールが可能なのではないか、と筆者は考えます。
動画の傾向としては、YouTubeで最もポピュラーな「字幕動画」やアニメ・イラストを活用した動画が多いため、ランキングやおすすめの動画からウケのいいコンテンツがどういうものであるかを事前にリサーチしてから投稿すると、よりユーザーに寄り添った投稿ができますね。

おわりに

中国には「YouTubeが使えない」「Googleが使えない」など、オンラインコンテンツがグレートファイアウォールによって厳しく規制されているイメージがあります。しかし、その代わりとなるコンテンツが独自に成長を遂げているのも事実であり、中国国内へのアピールに利用しない手はありません。
特にbilibili動画は、玉石混交ではあるものの参入障壁が低い場です。癖のある空気感やユーザー層を考慮する必要はありますが、越境ECの宣伝やインバウンドマーケティングの一環として、活用を検討してみるのはいかがでしょうか。

bilibiliの公式サイトはこちら

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筆者プロフィール

teatime

広報担当 無糖ティータイム

入社2年目に突入。現在はコラム「UP College」を中心にWebサイトのライティング、オフラインでの配布物作成などを行っている。趣味は旅行で、アジア圏ではタイ・ベトナム・台湾を訪問済み。コロナが収束した暁には、キャラバン隊へ参加してシルクロードを横断する予定。

最近の出来事:在宅勤務ゆえの引きこもりに花粉が拍車をかけ、不健康な生活が加速中。少しでも解消しようと夜の散歩に行こうとしたら、イヤホンの電池切れで心が折れました。