コストコ1号店が半日で閉店 中国やばすぎ伝説
※当記事は2019年9月時点での情報です。
遡ること2019年8月某日、日本に衝撃的なニュースが入りました。
コストコ1号店が半日で閉店してしまったというのです。
8月27日午前9時に中国初のコストコ「上海店」はオープンしました。
そしてわずか4時間後の午後1時。新規入場を停止し、そのまま営業時間終了を待たず閉店してしまったのです。
原因は中国人の商売魂とコストコのシステムがうまくかみ合ってしまい、現場に数万人が同時に押し寄せ、統率が一切取れなくなり地獄と化してしまったからです。
コストコと中国
コストコというのは日本でも馴染みが深くご存じの方も多いかもしれませんが、アメリカ発の倉庫型会員制小売店です。
年会費約5000円を支払うことでジャンルを問わないディスカウントされた商品を購入できるのが魅力です。
そしてコストコには2つの保証があります。
- 商品保証(満足できない場合返品可能)
- 年会費保証(サービスに満足できない場合は年会費返金)
このディスカウントされた商品が買える、という点が中国の商売魂に火をつけてしまったのでした。
オープン前までに会員登録は10万人に迫る勢いでした。
彼らの中の少なくない人数が「儲けを出すために」会員登録し、当日コストコに押し寄せることになりました。
伝説の始まり
オープン当日、中国上海のSNSはにぎわっていました。その内容は「コストコの飛天印のマオタイ酒(モロコシ(コーリャン/ソルガム)を原料とした蒸留酒)が半値で売られるらしい」とのこと。
ある上海の家庭では家族が集まり、当日の作戦を練る。目指すは日収10万円超え。
マオタイ酒は定価5万円近いですが、コストコでは2万数千円で売られることになっていました。
その他高額な家電製品等でも、投げ売り価格よりも安い価格で売られるものが多数ラインナップされていて、目を付けられていました。
27日、平日にも関わらず朝3時~4時から列ができ始め、開店前には数万人が鬼の形相で入口ではおしくらまんじゅう開始。
狙いはマオタイ酒をはじめとする大幅に値引きされた目玉商品でした。開店と同時に人々が殺到し、あっという間に店舗全域が満員電車のようになってしまったのです。そしてマオタイ酒は開店から20分後にはすべて姿を消し、家電製品も全滅。
開店後1時間もすると食品売り場も戦場となっており、多くの食品が散乱し、とても不衛生な状況になってしまったといいます。
多くの転売目的のユーザーにより目玉商品がすべて買いつくされた後も、流入はやまず治安要員による統制も取れなくなり、午後1時に入場停止、営業終了となりました。
この1日でマオタイ酒はじめ、買い占めできたグループや家族は10~30万円の転売収益を得られました。
一般的な家族でも、歩ける者を全員動員し、1人1本など購入制限が付いた商品を買う算段を付けていたといいます。
そして転売可能な目玉商品が売り切れた時点で、多くの会員が退会届を出して返金を迫り、サービスカウンターは人々で埋まってしまうことに。
コストコと中国の販売競争
上海コストコは現在も元気に営業中。アマゾン撤退や米中経済戦争だとか言われている中、コストコは中国上海市民のハートをつかんでいます。
ところが相思相愛かというとそういうわけでもないらしく、コストコをめぐってどう稼ぎを出すか、ネットでは戦場となっているとのこと。
新しいサービスがあればどうやれば自分たちが稼げるか、利益に繋がるかを考える人が多いのも中国。その勢いと商売魂が、中国という国を世界大国に押し上げたともいえそうです。
コストコは有料会員になるのと引き換えにに安く買えるシステムです。とあれば代理購入サービスが立ち上がるのも時間の問題でした。
代理購入で利益を得る者は日本にも存在します。ところが中国では人口も多いこともあり、SNSやサイトでマッチングサービスを展開しています。
日本では「せどり」「転売ヤー」という単語があるように、中国では「ソーシャルバイヤー」と言われています。
日本では購入したものをネットで販売して生活する人もいますが、中国では土地が広いこともあり、より幅広く行われています。
コストコに限らず、日本に渡って代理購入サービスを展開する者やサービスの特性を使い、時には穴を突いて稼ぐ者はかなり一般的です。
中国のコストコってどんな感じ?
中国のコストコと日本のコストコは、規模も商品の内容もほぼ変化はありません。しいて言えば転売しやすい商品が多いことくらいです。例えば家電の売り場は日本より広く取られています。
例のコストコ名物「原色すぎるデカイケーキ」を含め、売ってるものに大差はないようです。
ところがシステムはだいぶローカライズされています。
日本では現金と会員カードを用いるユーザーが多いですが、中国ではまず現金を使用する人はいないそうで、AlipayなどのQRコード決済をはじめ、ほぼすべてが非接触決済を使用しています。
そして会員カードが存在しません。すべてアプリで行われていて、コストコ会員カードのアプリ版しか用意されていないようです。
ちなみにコストコの会員カードは全世界共通なため、日本で会員登録すればアメリカのコストコにも行けるわけですが、カードユーザーは中国のコストコでは少々難儀するかもしれないですね。
そして初日の「爆買い戦争」を経験したためか、人数制限には特に力を入れています。
例えば現在の入店者数をリアルタイム表示するシステムがあったり、建物周囲に警備員が配置されるなど、かなりの配慮が見られます。
基本的には同じですが、ほんの一部違うところがある。というのも各国の特色を感じられる点かもしれませんね。
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