【インタビュー】中国越境EC、成功までの3つの壁とは? Part2

このテーマは:当社決済代行の加盟店さまにインタビューさせていただき、その業界のトレンドやノウハウに迫ります。

【前回の目次】
中国向けビジネスは17年前から
これから「売れ筋」を売るのは遅い?
中国越境ECの壁その1「ブランドの認知」

取材に応じてくださったのは

株式会社スコア・ジャパン 代表取締役 大沢 理さま
東京都江東区で物流・倉庫関連事業・越境ECを始めとした中国向けビジネスを多数手掛ける。webサイトはこちら

中国向けビジネスで成功している企業とは?

実は、本当に成功しているのは越境ECではなく「代客購買」。日本語で分かりやすく言うと「代理購買」というモデルでばかりです。その多くは、中国から日本に留学し、卒業して会社を興された方が手掛けています。
彼らは元々、親戚や友達が中国にいらっしゃり、そこから口コミでどんどんネットワークを広げていって、携帯電話に代理購買の注文がバンバン入ってくるそうです。
恐らく日本と違い、コミュニティ意識が非常に強く、本当に信用できる、それも密にコミュニケーションを取れるルートからしか、モノを買わないのではないかと、私は捉えています。
単にネットでモノを安く売るというだけでは、まず信用が得られないといいますか。

中国越境ECの壁その2 「信頼の獲得」

中国の方は、ネット上だけの希薄な情報だけでは、事業者やその従業員を(日本人同士の場合と比べて)信用しないのだと考えています。
例えば中国内に「世界的に有名なファッションブランド」の正規販売店が出来たとします。
そのブランドのことは有名なので信用しているが「そこの従業員まで信用できるのか?」というと、どうやらそうではなく「ひょっとしたら、従業員が偽物とすり替えているのでは?」と疑われ、それほど売れないという事もあるそうで、そのような事件も報道されています。
そんな背景もあり、ブランド品は「偽物とのすり替えは無いだろう」と思える香港や日本にやって来て買う…という流れができたのだと考えています。
信頼関係を作るには、やはり相互に密なコミュニケーションが取れて「この人は確実に本物を送ってくれる」という実績が積み重なり、そこから口コミが徐々に広がって、そこから沢山のモノが売れるようになっていく…
それが、ここ最近「代理購買」ビジネスが支持されている理由だと思います。

他のモデルはどうか?

――そう言えば、一時は天猫(Tmall)の出品代行というモデルも注目されていました。そちらの成功例は聞きますか?
よく聞く話ではありますが、どれだけいいものを、安く天猫に出しても「それだけ」で売れるという話は聞きません。先ほどの話の通り、出品者が信頼を獲得するところまで辿りつくのが難しいだと思いますね。
――コミュニティをなかなか築けないと。
 その辺りが、Alipayなどの決済アプリにも「SNSやメッセンジャーの機能が欠かせない」と言われる理由なのでしょうね。

「コミュニケーション+送金」というものが、まさに今Fitech(フィンテック)と呼ばれる領域のプレイヤー達がこぞってやろうとしている事です。Alipayはまさに先駆者ですね!

中国越境ECの壁その3 「現地企業とのマーケティング競争」

――我々マーケティング領域の人間からすると「マーケティングやブランディングの施策次第で、まだチャンスはあるのでは?」と考えてしまいますが。

確かに「中国市場でモノが売れる」ということは、多くの日本企業の共通認識だと思います。
しかし、日本製品を中国で認知させるためには、まずメーカーが中国内で長期にわたり継続的に宣伝して、ブランドイメージを浸透させる必要があり、それには何十億円という金額が必要だと思います。
それをメーカーではなく、販売専門の事業者がECサイト(ネットショップ)に対して同じ規模の投資ができるかというと、なかなか難しいのではないでしょうか。
それこそ、アリババや京東(ジンドン)が日々ものすごい金額で宣伝活動をしていて、それらと競合する訳ですから、普通のブランディングやマーケティングをやっていたのでは、とても太刀打ちできないと思います。

――確かに「日本の倍は広告費がかかる」とういう話も聞きますね。
日本でも「いちネットショップ」と「Amazonや楽天などの巨大モール」の関係性に置き換えてメージすると分かりやすいですね。

辿り着いた3つの結論

ここで当社の「中国購買王」に話を戻しますが、商材は日本の書籍がメインで、それでこそ成り立っている部分があります。
中国で日本の書籍名を検索すると、Amazon(編注:amazon.cn=中国Amazon)か、中国購買王かのいずれかが表示されるような状態です。
Amazonは到着が早いのですが、実は送料が高いのです。対して、中国購買王は到着がやや遅いですが、その分送料を安くしており「待てるなら、中国購買王の方が得」というように上手く住み分けができています。
もう一つ、手応えを感じているのが「お土産や特産品のリオーダー(再注文)サイト」です。
先日オープンした沖縄ゲートウェイがそうなのですが、沖縄は中国の方にも非常に人気のある観光地で、週に5~6000人が訪れます。お土産も沢山あるのですが、これを中国の方が帰国後にリオーダーしようと思っても、全く同じものをネットで探して買うのは難しいのです。
公式のリオーダーショップがありませんでしたし、実際に沖縄の企業さんには、中国語でFAXやメールがメーカーにちらほら届くようで、ニーズは確実にある事は分かっているのですが、対応できるところは殆どありませんでした。それなら我々がやろうと。
店頭に中国のチラシを置いていただき、そこからサイトへのアクセスを案内しているのですが、実はそこで商品が売れても、お店さんやメーカーさんから手数料は一切いただかず、配送を当社にお任せいただきます。
従来からあった「手数料モデル」のビジネスでは、販売者さんの負担が大きく、長い間根気強く続けていくことが難しいのではないかと考え、当社は販売の手数料は一切いただいていません。おかげ様で「費用をかけず、リオーダーが拾えるなら!」と、既に沢山の企業様から出品いただいています。
最後が、まさに今回お話しした「代客購買」というモデルで、霓虹代購というサイトをこの度オープンしました。

スコアジャパン様第脚購買サービス
 こちらは、代理購買できるエージェントを当社が用意し、十分なコミュニケーション機能を持たせ、日本の商品を当社の運送サービスを使い、中国の方からの代客購買を受け付けます。

第脚購買サービス概要

物流とマーケティングという、特に中国向けの越境ECで課題になりがちな要素をクリアしたサービスですので、中国の消費者の方にも、日本からものを売りたい企業様にも、気軽にご利用いただけるのではと期待しています。

<インタビューは以上です>

筆者による総まとめ:モノよりも「ヒト・コト」

今年の春節でも、モノの爆買いよりも「医療、健康、美容、芸術鑑賞、グルメ、スポーツ、学習」といった「コト消費」を目的とした訪日客の増加がニュースになっていました。これは中国の方だけでなく、日本の消費者にも同時に起きている流れです。
体験という「コト」と、それに根付いた「ヒト同士の信用」に得にシビアなのが、中国の消費傾向であると、今回の取材で強く実感できました。
これから中国市場にアプローチしたいと考えているメーカーさんや小売店さんは、まずECサイトを立ち上げようとするのではなく、訪日時の「コト消費」でまず体験してもらい、リオーダーから始めて「需要はどれほどか?」という事を見てみたり、代客(代理)購買へ販売委託するなどしてリサーチするという事も視野に入れると良いのではないでしょうか。
今後も中国向けビジネスの動向は特に注力して追っていきますので、当社FBページに「いいね!」やRSS購読をお願いします。

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